2009年 11月 13日
究極の理想 |
図書館で運命的な?出会いをした本があります。
それが、「ルイス・カーンの全住宅1940-1974」(斎藤 裕 著・写真)。
本というよりか写真集のような、それはとても美しい住宅建築集でした。
アメリカ史に残るその偉大な建築家の名を、私はその時はじめて知りました。
ミースやフィリップ・ジョンソンが鉄とガラスを用いた近代住宅で脚光を浴びる時代に、
木や石という伝統的な素材にこだわり続けたというカーン。
だから彼の創る住宅は、新築なのにどこか廃墟的な佇まいを持っていたのだとか。
そのディテール・佇まい・質感・光の感じに至るまで、とにかく全てに魅了、感動…。
どうしても手元に置きたかったので、(本としてはかわいくないお値段だったけど↓)即購入。
しばらくの間、写真を眺めて楽しんでいました。
その後、まだ会って間もない建築家に本持参で、「こんな感じの家にしたいです。」と。
…無知の知は恐ろしいというか、今にして思えばかなり無謀な発言だったなぁと思う。
でも、建築家の松田さんは見事にそこからヒントを見出し、今のプランの原型がうまれた。
そして最近、改めてカーンの本をじっくりと読んでみた。
その中には、驚くほどにわが家のプランと共通したキーワードがちりばめられていた。
ルイス・カーンという建築家が、内と外との中間領域を大事にしていたこと。
空間をちいさく区切るのではなく、それぞれに独立した部屋を作ることを好んだこと。
そして、一箇所気に入らない点があればその箇所だけを修正するのではなく、
すべてを一から練り直した。また、コストに対する意識は薄かった、というエピソードも。
松田さんがカーンを意識してかどうかは分からないけれど、「すごい、似てる!」。
(コストの面はともかくとして?)心の中でそう思わずにはいられなかった。
もちろんこれは、"理想"のお話。
本に出てくる住宅とは気候風土も、敷地条件も、規模も予算も、すべてがはるかに違う。
でも。これから現実化していく家のなかに、ほんのちょこっとでも。
この本のヒントが残っていれば、うれしいなぁ。
わたしにとっての、まさに"究極の理想"なのです。
ならではだろうだけど、なんだか自然との調和の重要性も再認識させられます。
それにしても、ため息が出るほどに美しい建築写真の数々…。
【理想(ideal)】:人が心に描き求め続ける、それ以上望むところのない完全なもの。
(Yohoo!百科事典より)
by iecoto-diy
| 2009-11-13 07:47
| いえのこと